リユースPCの選び方・チェックポイント・バッテリー

リチウムイオン二次電池とは

「二次電池」とは、ふつうの乾電池のように一度電力を放出しきったらおしまいで、捨てるしかないというのではなく、何度も充電して繰り返し使える電池のことです。鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池(ニッカド電池)、ニッケル水素電池などがありますが、現在の主流はリチウムイオンで、スマートフォンやタブレットPCでもおなじみです。
 
リチウムイオン二次電池の長所
リチウムイオン二次電池には、数々のすぐれた特徴があります。
①エネルギー密度が高い
・重量あたりの蓄電量がニッケル水素電池の2倍、鉛蓄電池の5倍
・体積あたりの蓄電量がニッケル水素電池の1.5倍、鉛蓄電池の4~5倍
 つまり、同じ容量でも、より軽く、より小さい電池がつくれます。

②電圧が高い
・4ボルト近い電圧はニッケル水素電池の3倍、鉛蓄電池の1.5倍

③メモリー効果がない
・ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池の弱点であるメモリー効果がない
浅い充電と放電を繰り返しても見かけ上の容量が減ってしまうことがない。

④自己放電が少ない
放置しておくだけで自然に放電してしまう率が5%程度。ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池の5分の1くらいと優秀です。

⑤充電/放電効率がよい
充電に要した電力量の8~9割を放電できるので、電力の貯蔵効率がよい。

⑥寿命が長い
500回以上の充放電が可能。

⑦高速充電が可能
放電電流の3倍ちかい電流をあたえて、短時間で充電が済む。

⑧使用温度範囲が広い
-20度~60度という広い温度帯で安定して放電できる。
 
リチウムイオン二次電池の短所
すぐれた特徴が多々ある反面、リチウムイオン二次電池には重大な短所もあります。
「発火しやすい」のです。
リチウムイオン二次電池の中では、充電時にはプラス極で強い酸化反応、マイナス極で強い還元反応が起き、放電時にはその反対にプラス極で還元反応、マイナス極で酸化反応が起きます。どちらのときもプラス極とマイナス極の間でショート(短絡)してしまうと、電池を激しく劣化させ、最悪の場合、破裂したり発火したりします。
リチウムイオン電池に先のとがったものを突き刺すと、そこから火が噴き出して爆発に近い燃焼を引き起こしていく映像を見たことはないでしょうか。動画投稿サイトで「リチウムイオン電池 発火」で検索すると簡単にたくさん見つかります。
「長所」のところで触れたように、エネルギー密度が高い、つまり、軽量コンパクトなスペースに大きなパワーが詰め込まれていますので、それが間違った開放のされ方をするとたいへん危険なのです。
 
  • 安全に使うために
外殻を破損させて穴を開けないようにしましょう。リチウムイオン二次電池は液体の媒質が可燃性で、空気に触れただけで発火します。
急速すぎる充電で過熱・発火することもあります。電圧・電流規格の合うメーカー純正の充電装置を使うようにしましょう。
 
バッテリーを長持ちさせるためには
リチウムイオン電池を少しでも長持ちさせるにはどうしたらいいか、というお話です。オフィスで据え置きにしているラップトップPCでは実行困難なところもありますが、知識としてお持ちいただければと思います。スマートフォンその他のリチウムイオン二次電池についても応用可能です。
 
①「腹八分目に医者いらず」
……ということわざがあります。お腹いっぱいに食べないで、「もう少し食べられるな」というくらいでやめた方が健康に良いという意味です。
リチウムイオン電池にも似たようなことが言えるようです。充電・放電を繰り返せば多少なりともバッテリーは劣化しますが、100%まで充電するのを繰り返すと、400回くらいで寿命ラインに達してしまうのに対し、50%程度までの充電を繰り返した場合だと、400回では10%しか劣化しなかったというデータがあります。つまり、実は
           フル充電しない方が良い
のです。
しかし、大多数の人はACアダプターをつないだままPCを使用しているでしょう。「バッテリーはほぼ常時フル充電状態」という人がほとんどだと思います。バッテリーのためには、本当はよくないのですが……
PCメーカーの方でなんとか工夫してもらいたいところです。
 
②使い切らない、こまめに継ぎ足し充電する
これがニッカド電池やニッケル水素電池とちがうところです。リチウムイオン電池は過放電のまま放置すると致命的に劣化するので、使い切るのを避け、こまめに継ぎ足し充電を繰り返す方が長持ちします。
ラップトップPCをよく外に持ち出す方は、自然とこの対応をされていることになるでしょう。「フル充電しない」という対応も実行可能でしょう。